『Makuake』で達成率571%のシェアビレッジ開村! すでに新村準備も
2015年2月から4月までの間、クラウドファンディングサイト『Makuake』でサポーターを募集。目標額である1,000,000円を大きく上回る5,717,000円の“年貢”を集め、見事プロジェクトを達成させた『町村SHARE VILLAGE』。
同プロジェクトは、秋田県南秋田郡五城目町の集落“町村(まちむら)”にある茅葺屋根の古民家を後世へと残すため立ち上げられたもの。
サポーターは“年貢”を納めることで“村民”となり、村に見立てた古民家の維持管理や、古民家を拠点にした様々なイベントなどを自主的に企画提案・参加することなどで盛り上げていく。
そんな注目のプロジェクト『町村SHARE VILLAGE』の開村式と初寄合が、GW期間中の2015年5月2日に開催された。
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快晴の中、全国から“村民”が集結。秋田初来県という人も
開村式当日も真夏のような暑さとなった秋田県。
五城目町にある『町村SHARE VILLAGE』には、北は北海道、南は鹿児島まで39都道府県862人いるという“村民”のおよそ1割程度が集った。
中には「今回、開村式をきっかけに初めて秋田に来た」という県外からの参加者も。
村長である武田昌大氏を始めとしたプロジェクトメンバーの挨拶で始まった開村式は、古民家内での食事や休憩・イベントなどが盛り込まれゆる~く行われた。
築133年の古民家の間取りは8LDK
古民家は築133年で、昔ながらの土間や三和土(たたき)のある天井の高い茅葺屋根の家。
この日、入り口となったのは本来の玄関ではなく大戸と呼ばれる場所で、今の家で言えば勝手口のようなところだった。
大戸をくぐると、左手には風呂場とトイレ。右手には今風のキッチンがあり、そのまままっすぐ入って行くと正面にかまどや板張りの部屋、右手には囲炉裏などがある畳張りの部屋が並ぶ。
部屋数は、平屋にもかかわらず全部で8部屋(台所を除く)あり、広さは6畳から13畳まで。さらに縁側もあるなどまさに昔ながらの造り。
寝泊まりは8畳間2部屋で
『町村SHARE VILLAGE』は宿泊することも可能となっており、宿泊料金は素泊まりで一泊3,000円(相部屋/男女別)。開村式当日には5名の“村民”が宿泊した。
宿泊は自由に部屋を選んで寝泊まりできるわけではなく、昔、若夫婦と老夫婦の寝所となっていたという中の間(8畳)と書斎(8畳)での寝泊まりとなるという。
どちらの部屋も庭の眺めがよく、中の間からは古民家とほぼ同じ頃からあるというオンコの木と、それに寄り添うように植えられている椿を。
書斎からは楓などで彩られた玄関まわりの風景を楽しむことができる。
その他の部屋も利用することは可能だというが、火を扱うかまどや囲炉裏の使用については家主や家守への相談が必要だとのこと。
“年貢”で水回りを改修。秋田杉が香る風呂場
宿泊する“村民”にとって気になるのは、やはりトイレや風呂場といった水回り。
どちらも今回集まった“年貢”で改修されており、トイレは浄化槽に。風呂場は秋田杉をふんだんに使った内装となっている。
ただ、1つ残念だったのがユニットバスだという点だ。手入れの問題などからのことだろうが、せっかく古民家でのひと時を楽しむのであればやはりここは浴槽も秋田杉で作って欲しかった。
『町村SHARE VILLAGE』は“村民”でつくる村。が、中にはマナー違反者も
今回スタートした『町村SHARE VILLAGE』は、年貢を納めた“村民”がお客様として楽しむのではなく一丸となって村づくりを行うプロジェクトだ。
そのため、“年貢”の額による肩書の違いはあれど格差はない。
また、古民家を末永く維持し多くの“村民”でシェアするための最低限のルールも設けられており、村内には「村民心得」も掲示されていた。
だが、中には開村式当日にもかかわらずなんとも残念な行動をとる“村民”も。
もし、皆さんが祖父母や親戚の家へ行った時、敷地内の草花をいきなり手折ったり場所をわきまえず喫煙したりするだろうか?
残念ながらこの日、そんな行動をとっていた“村民”もいたのだ。まず、開村式までの待ち時間の間に親子連れがフキを手折る行為を行っていた。
秋田では雑草並みにどこでもみかけるフキだが、今回手折られたのは古民家の敷地内に生えているもの。少なくとも、開村前から行っていい行動ではないと感じた。
また、「村内心得」にある禁煙ルール(古民家及び庭などの敷地内全て)についても、中年男性が敷地内の庭で悪びれずに喫煙している様子が見られた。
今後、古民家は“村民”の手により様々な形で盛り上げられていく。そんな時に「ちょっとだけ」や「このくらい」という、モラルの境界が甘くなる機会が増えれば秩序は乱れていく一方だ。
これはスタッフの監視が行き届かないということではなく、“村民”一人ひとりの意識が試されているということではないだろうか。
地元住民はプロジェクトに好意的。これまでの下地が功を奏す
気になったのが、全くもって関わりのない様々な人々がこの古民家へと訪れることへの地元住民の反応だ。
前の持ち主である伊藤健氏に話を伺ってみたところ、伊藤氏曰く「2001年の退職を機に2011年までこの家を開放し、延べ2,000人ほどが訪れた。そういった下地があったせいか、(今回のプロジェクトについても)比較的違和感なく受け入れてくれているようだ」とのこと。
となればなおのこと、“村民”一人ひとりがしっかりとした意識を持ち、その期待と受け入れてくれた気持ちへ応えていく必要があるのではないだろうか。
伊藤氏によると同古民家の見どころは四季折々の変化。その中でも例年なら5月下旬ころから見頃となる『九輪草(サクラソウ科サクラソウ属)』はオススメだという。
湿気の多い場所を好むという『九輪草』は、これまで何度か希望者へも株分けをしたというが無事に定植できたのは数えるほどだったのだとか。
開村式当日は、例年の時季よりも早かったにもかかわらず、まるでこの日を祝うかのように咲く姿が見られていた。
気さくな町民が集う五城目町は様々な自然に癒される集落
今回、初めて五城目町の集落へと足を運んだのだが、車を停めた場所から古民家への道のりを歩いていた時に感じたのが、集落内に漂う杉の香りだった。
集落内にはそこかしこに杉が植えられており、とにかく歩いているとふとした時に杉の香りが感じられリフレッシュできる。その他にも、川の流れや鳥のさえずりなど自然の音がひっきりなしで、10分程度の道のりでかなり癒やされた。
加えて、途中で会う町民の多くが「こんにちわ」「どこから来たんだすか?」と明るく気さくに声を掛けてくれたのも嬉しかった。
そういう点では『SHARE VILLAGE』の“村民”であるなしに関係なく、日常に疲れた心と体をのんびり癒やす場所としてもオススメしたい。
まもなく『町村SHARE VILLAGE』第2期村民募集スタート。新村準備も着々
『町村SHARE VILLAGE』の『Makuake』での第1期村民募集はすでに終了しているが、2015年5月11日より公式サイトをリニューアル。同サイト上で第2期村民募集や宿泊・見学予約の受付を行う予定となっている。
この日の初寄合では、中部地方で新村の準備が進んでいることも明かされた。
武田村長によると「シェアビレッジは日本全体の古民家をつないだネットワーク型の村です。今は秋田にしかないので全体像が見えませんが、今後全国に増えてきた際に、村民は村を選んで宿泊したり、村から村に旅したりできます!」とのことなので、いずれは“村民”ならではの“SHARE VILLAGE”ツアーも楽しめるようになるかもしれない。
また、今月15日には、関東に住む“村民”を集めた寄合を東京で開催するという。『町村SHARE VILLAGE』の“村民”のうち、関東在住者は522人と最も多くを占めている。今後は、“村民”が30人を超えた地域での現地寄合も開催していく意向だという。
『町村SHARE VILLAGE』では、7月には“村民”も参加した茅葺屋根の葺き替えを。8月には『一揆』と題したイベントの企画などを予定している。
日本の古き良き原風景を後世へと伝える“SHARE VILLAGE”プロジェクトはまだ始まったばかりだ。
■参照■
・『町村SHARE VILLAGE』公式サイト
http://sharevillage.jp/ [リンク]
・『Makuake』/年貢を納めて村民に?!シェアビレッジ町村、村民1,000人募集します。
https://www.makuake.com/project/sharevillageproject/ [リンク]
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(執筆者: 北島 要子) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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